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私が若いころには、今でいうイケメンの俳優(かつては男優だけを意味していた)、近寄りがた
いほど美しい女優がいた。まさに“スター”というのにふさわしい華やいだ存在である。が、そうし
た俳優の中で、50代、60代になっても活躍しつづけている俳優は案外少ない。むしろ若いころは
脇役だったり、舞台俳優だったりした人の中に、名バイプレーヤーとして活躍している人が結構
いる。
学校にも同じようなケースがある。一時期すごい勢いで成長し、このまま誰もが認めるトップ校
になるかと思っていたら繁栄は一時期で、いつの間にかしぼんでしまうケース。逆に低空飛行が
続いていたが、地道な努力を積み重ねて今やだれもが認める存在となっているケース。いずれ
も枚挙にいとまがない。
長いこと多くの学校と接してきたが、低空飛行の学校が努力をしていなかったわけではない。
毎年涙ぐましい努力を積み重ねてきてもいっこうに報われなかったーそんな感慨を抱く学校も少
なからずある。
それが、学校づくりが時代にマッチした、適任者を得た、組織が柔軟だった……などにより大
化けすることがある。過去の長期間が苦労を知っていると、“運がいい”としか言いようがないほど
うまくはまることがある。
が、スターが名優になるのが簡単ではないように、学校の欠かせない存在として存続し続ける
のはそう容易ではない。名優になる道は、応募者数、偏差値、大学合格者数といった作りやす
い数字ではなく、生徒が、卒業生が、“自分の学校が好き”であること、これがまずベースだ。学
校の数字を上げるための施策ではなく、生徒の<将来の>ための施策、これを地道に長期間し
続けることで、はじめて、“好き”を獲得できると思うのだ。
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