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   この時期、中学受験の保護者に向けて話をする際には、「神経質なお母さんより細かい
  ことにこだわらない肝っ玉母さんのほうがうまくいきますよ」と話すことが多い。
    ある女子校で、生徒が海外大学受験の希望を出した。その学校では過去にあまり受験
  したケースがなかったからだろう、英語の先生が「アメリカの大学は予習がものすごく
  大変。苦労するわよ」「アメリカの大学を出ても、現地で就職できる可能性は低く、日本
  で就職するケースが大半なの」「最近、学費が急激に上がっているの。ご両親とよく相談
  してね」……思いとどまる方向での話ばかりした。
   別の学校で、中2 生の探究学習の発表会があった。「複合商業施設の平日の来館者数向
  上という課題解決に挑戦!」がテーマ。施設の運営企業の担当者を前にプレゼンすると
  いうものだ。中2 生だから幼いが、5 クラスすべてが対象として考える客層、解決策が異
  なっており、バラエティーに富んでいたので面白かった。発表時間3分が厳守で、途中
  で打ち切られるチームも。運営企業側の講評があったが、大いに評価する一方で、「雨天
  の場合も考える必要がある」とか「3桁の店舗があり、公平性が大切」とか、当事者な
  らではの具体的なアクション段階での話も出た。
   それらを聴きながら思った。中学生に対して今いちばん大切なことは、「探究学習って
  面白いな」「自分もこうした発表の場に立ってみたいな」という気持ちにさせることでは
  ないだろうか。課題解決策の良し悪しよりも、生徒をポジティブに、前向きにする、こ
  れが一番の目的ではないだろうか。
   神経質な保護者、まじめな先生ほど慎重な言動が多く、無意識のうちにブレーキをか
  けてしまう。大雑把でいたほうが案外生徒を伸ばすような気がする。
    
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