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自分の中で『矛盾』がある。
「これからの日本はデジタル人材が数十万人単位で不足するから、IT スキルを付けてお
けばVUCA の時代と言われる予測困難な時代を生き抜ける。」
「文系・理系を問わず全学部生にデータサイエンスを履修させる大学が増えている。だ
から全員に中高時代に数理的素養を付けておきたい。」
ということをしばしば書いたり、語ったりしている。間違いではないだろう。
が一方では、大勢が身に付けるであろう普遍的なスキルで生き抜いていけるのだろう
か、という気もしている。
そして何より、自分の内側にこうした分野への興味、エネルギーなしに、単に有利だ
ということで進んだとしたら楽しくないのではないか、ということを思ってしまう。
前者は、安全、確実な“食べていける”を保証してくれるかもしれない。が、人生の
醍醐味は、どうなるかわからないが、好きなこと、内から湧き出ることをやること、チ
ャレンジすることではないのか。失敗を恐れてチャレンジもしないで無難を繰り返して
いては、いつの間にか生気を失ってしまうのではないか。
国の借金の増加、円安に象徴される国力の低下……そうした厳しい現実を目にしてい
ると、大事な生徒にはどうしても“食べていける”安全策を勧めがちになる。
が、ここは先生自身が腹をくくり、ポジティブになって積極的な言葉を投げかけてい
ただきたい。生徒が皆「間違いではない」安全策を取っていたら、日本は下降カーブを
描き続けるままになる。
ぜひ「やってみなはれ」と、背中を押していただきたい。
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