教育天声人語
〇〇と××ではどっちが上ですか?


  数日前、ビジネス系の週刊誌の中学受験を特集した号が送られてきた。中学受験のみ
 ならず、小学校受験、塾までもがいろいろな切り口でランキングされた大変な情報量の
 労作である。
  私も取材を受けているし、自分自身でもこうした類の記事を作成しているので大きな
 ことは言えないが、こうしたランキング記事の影響力が心配になる。こういうものばか
 り目にしている保護者は、
 「〇〇が××を超えた!」とか
 「〇〇と××ではどっちが上ですか?」
  みたいなことばかり気にして、そうした視点で学校を見るようになる。
  夏目漱石が「価値を人に頼るな。自分で決めよ」と言っていたが、自分自身はいいと
 思っても、世間の評価が低いと受験校にすることをためらってしまう。これまでそうし
 た保護者にしばしば出会ってきた。
  親戚に知られているかどうかだけでなく、偏差値が△△以下だとか、応募者数が少な
 くて人気がないとかなども、世間がどう評価しているかにつなげて見ているようなとこ
 ろがある。
  そんな風潮なので、Web 媒体から原稿依頼を受けたときに、真逆の地味な「地学教育」
 を取り上げることを思いついた。そう、共通テストでダントツに選択者が少ない「地学」
 である。その媒体はビジネスリーダー向けなので、先生方はお読みになっていないと思
 う。で、「ビジョナリー」にも再録しようと考えた。
  取材して改めて感じたことは、私学にはすごい学校があるなということだ。

「ビジョナリー」2022年5月号掲載     |もくじ前に戻る次に進む

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