教育天声人語
スマート・クリエイティブ・ウォームハート


  石川県の大聖寺で九谷焼を制作している友人から1冊の冊子が送られてきた。福井県
 の丹南地方の「たんなんFM」が制作した『たんなん夢レディオ』というもの。表紙を
 開いた1ページ目に友人の原稿「九谷吸坂窯便り」が掲載されていたが、「これ、誰が
 読むの?」と思わずにはいられない専門的な内容。しかもすでに30回も連載されてい
 る。
  2ページ目以降も、1ページ1テーマで、「東京五輪『中止』にメディアの砲列を」
 (大学の名誉教授)、「老内科医ある日の外来風景」、「数学から数楽へ」(大学の
 名誉教授)、「心のしおり」(元曹洞宗管長)、「北前船の七不思議」、「コロナ、暴
 風、五月晴れ」(音楽家)・・・と、脈絡なく延々と続く。書体、文字の大きさもすべてバ
 ラバラ。要するに「編集」という手が入っていないのである。それぞれがよそに書いた
 ものの写真版を並べたような印象。
  表紙に副題として「たんなんFMがお届けする自由な潮流」とあったが、まさにそん
 な感じ。ページを繰っていくと、突然ISETAN、AERA の大きなロゴが目に入った。これ
 らのロゴをデザインした戸田正寿さんの文章であった。こんなことが書かれていた。
  「ニューヨークに滞在していた時、イラン人のマッキンゼーの経営コンサルタントと出
 会った。親しくなった時に彼が言ったことは、その後の自分の人生大きなヒントになっ
 た。『どのような組織も仕事も成功させるにはスマートな人、クリエイティブな人、ウ
 ォームハートな人、この3人が力を合わせれば必ず大成功する』」
  スマートは賢いとか頭脳的とか解釈すればいいだろうか。学校、塾にも当てはまると
 思うので紹介させていただいた。

「ビジョナリー」2021年8・9月号掲載     |もくじ前に戻る次に進む

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