教育天声人語
「いい人」と「いい学校」


  「いい人」という人がいる。善良で、穏やかで、優しい人というイメー
 ジだ。この場合、有能である、やり手である、尖っている……といったニ
 ュアンスはむしろ含まれていないことが多い。
  「いい人」カラーの学校がある。校風が穏やかで、先生と生徒の距離が近
 く、誰にでも居場所がある。生徒を競わせて進学成果を上げることを目指し
 ていないから、ストレスも少なく、退学者も少ない、そんな風土である。個
 人的には好感を抱いている。
  が、保護者が考える「いい学校」となると、必ずしも「いい人」的な学校
 ではない。レベルが高く、学力を伸ばしてくれ、難関大学に入れてくれる学
 校。近年はこれに、厳しい時代を生き抜く○○力・○○力やスキルを付けて
 くれる、が加わるだろうか。
  最近接した保護者の言葉に下記のようなものがあった。
  「保護者が大学入試改革や社会のグローバル化にとても気を揉んでいるの
 に、そこには触れずに『一人ひとりがかけがえのない存在です』、『子どもの
 幸せって何でしょう』的な話ばかりをされても、この時代にはそれでは選び
 にくいと感じました」
  本文の記事、『中学受験人口はこのまま増加し続けるか? 減少に転じる
 か?』のテーマであるが、私学の存続が厳しくなると思われる時代を控えた
 今、いつまでも「いい人」タイプで居られる保証はないのではないだろうか。

「ビジョナリー」2020年4月号掲載     前に戻るもくじ

(c)安田教育研究所 無断複製、転載を禁ず