教育天声人語
校長像が変わってきた

  この3月、4月、退任された校長、新任の校長に何人もお会いした。お会いしないまでもいろん
 なところから何人もの方の異動が耳に入ってき、また挨拶状も届く(新任校長の文面しかないと、
 前校長は不本意な退任かと推察される)。今年は副校長、広報部長の異動も多数耳にする。そう
 した「変化」に注目してみると、どうもこれまでとは違ってきていることを感じる。
 〇 以前は教頭、副校長を経ているから50代が圧倒的だったものが、40代の校長が生まれている。
 〇 公立では民間企業出身者というのは以前からいたが、私立では少なかった。が、私立でも生ま
  れてきている。中には私立から公立へというケースも……。」
 〇 社会のグローバル化を意識してのことなのだろう、グローバル教育に強い人材の起用も目立つ。
 〇 以前多かった公立、私立の伝統校を退任した校長に来てもらうというパターンは減って、前任
  校で自ら改革の旗を振ったアクティブな校長に来てもらうというケースが目につく。
  全体として言えることは、校長に求める資質が明らかに変化していることである。校長像自体、
 が変化を余儀なくされているのである。であるから、内部昇進であっても、近年校長に求められ
 ていることが違ってきていることを意識していただきたいし、外から招かれた校長は 「自分はな
 ぜ校長に選ばれたのか」を今一度考えていただきたい。
  一方理事会は、単に入学者増を期待するのではなく、どのような学校にしてほしいのか、その
 方向性を提示し、その校長を少なくとも5年間は支えていただきたい。いちばんまずいのは、校
 長が1年、2年で交替し、方向性がブレることである。学校内部がきちんと構築されないし、保護
 者・業界の信頼も得られない。
  新校長には「思い」「ビジョン」を語り、教職員とそれを共有することから始めていただきたい。

「ビジョナリー」2018年5月号掲載     |もくじ前に戻る次に進む

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