教育天声人語
生徒にワクワクする話を聴かせたい

  聖光学院で、「AIネイティブと教育」というシンポジウムがあった。基調講演登壇者は、ヤフー
 株式会社CSOの安宅和人氏、株式会社ソニー コンピュータサイエンス研究所の代表取締役社長
 北野宏明氏、株式会社ソニー・グローバルエデュケーションの代表取締役社長礒津政明氏。いわ
 ば最先端の業種の経営者たちである。
  私が苦手とするジャンルであるので、専門用語ばかりが飛び交かったら困るなと恐る恐る参加。
 これから時代はこう動くのか、こんなにも速いスピードで変化するのかと、実に刺激的であった。
 こうした話に生で触れられた生徒はものすごく恵まれているな、聴きながらずっとそれを思って
 いた。伝統的産業の経営者の話では今の中高生はワクワクしないのではないだろうか。
  その上キャラクター自体が個性的で、とても魅力的に感じられた。安宅和人氏は幼児のころか
 ら絵が得意で、画家になろうと思っていた。が、小4の時にゴッホとモジリアニの絵に接し、絵
 がうまいという次元を超えた才能の差を感じて断念している。小4! 北野宏明氏は幼稚園の時
 に天文学者になりたいと思っていた。礒津政明氏は10歳でビルゲイツの本を読み、会社をつくろ
 うと考えた。ソニーが好きになり、まずソニーに入ることを目指した。
  3者ともが「天才」であった。話を聴きながら、公立小学校の先生から「小4の時の資質で、ある
 程度将来がわかる」と聴いた話を思い出した。会場からの質問で、小学生の子を持つお母さんか
 ら「今の子はやることが多すぎる。やらなくていいことは何ですか? 例えば計算ドリルとか漢
 字とか……」ということがあった。それに対して、「何をやらなくていいかという発想ではなく
 熱中するもの、長時間やり続けるものを見つける方に関心を持った方がいいと思います」と答え
 ていた。「天才」はさすがにいいことを言うのである。

「ビジョナリー」2017年12月号掲載     |もくじ前に戻る

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