教育天声人語
優先順位をつける

  この3月、4月に5校で教員研修を行い、また毎日のように学校の先生がいらして話をしている
 うちに気が付いたことがある。それは組織としての目標の有無だ。
  トップが「教育現場における改革は、慎重を期すべきだ」「失敗は許されない」「拙速は避けるべき
 だ」と、『正論』を言っている学校がある。伝統校に多い。一方、トップが大胆な改革構想を打ち
 出しても、現場の先生が仕事が増えることを嫌って反対、同窓会も「うちはそうした学校ではない」
 と伝統に固執して反対、少しも変えられない、変わらない学校がある。そうした学校の入試の応
 募状況をチェックしてみると、案の定年々減少している。
  それは当然のことのように思える。なぜなら、いま保護者は、これから社会は大変動する、そ
 うした社会でわが子はちゃんと生きていけるのだろうかと、大いに不安が募っている。それなの
 に現状維持で動かない学校では未来社会を生きる力をつけてくれるとは到底思えないからだ。
  教員研修で決まって出る質問がある。「授業、行事、部活…。毎日手いっぱいで、新しい仕事な
 どとてもできない」。先生は仕事に優先順位をつけることをしない。どれも同じ比重で取り組んで
 いる。
  学校として何を目標として行うのか、決めてはどうだろう。例えば、行事にしても、「主体性」「協
 働性」を育てるうえではどの行事がもっとも有効で、どの行事は効果がないからやめる、そういっ
 た判断が必要だと思う。教科学習にしても、弱いと時間を増やす方向に行きがちだ。「量ではなく
 質を向上させる」―いろんなシーンで、そうしたことを行っていかないと先の質問のようになる。
  組織としての目標がなく、個々の先生がバラバラに忙しがっている。そんな状態から早く脱出
 してほしいものだ。

「ビジョナリー」2017年5月号掲載     |もくじ前に戻る

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