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鴎友学園が創立80周年記念事業として3回の連続講演会を行った。1回目は仕事が重なり出席で
きなかったが、2回目、3回目は聴いた。各回とも教員による報告と外部講師による講演という構成。
外部講師は、1回目が大阪大学大学院の友枝敏雄先生、2回目が京都大学大学院の溝上慎一先生、3
回目が文部科学大臣補佐官の鈴木寛先生。1回目、2回目は「外部調査からみる鴎友生」というテー
マで、3回目は今回の一連の教育改革の背景と人工知能が発達する社会に巣立っていく生徒の育て
方という趣旨であった。
が、私の主たる関心は教員の話にあった。2回目は学習指導部長の福井守明先生。AL(アクティ
ブラーニング)の話ひとつとっても、内部できちんと論議が尽くされていることが感じられる。A
Lを一部の教員が実践しているのではなく、学校全体としてどう取り組むか深いところまで検討さ
れている。こうしたことを積み重ねる風土が教員の力量を上げているのだろう。
3回目は校長の吉野明先生。創立期の市川源三先生と石川志づ先生の教育理念がいかに今の鴎友
を形作っているか、それが見事に体系化されて語られる。創立者が優れた教育理念を持っていたこ
とが、どれほど学校にとって幸せなことであるかがわかる。
今回の連続講演会を聴き(鈴木寛先生のこれからの人材像を含め)、改めてこれからの教員像を考
えてみた。「主体性・多様性・協働性」がこれからの大学入試で評価され、グローバル化が進む社会
でも欠かせないならば、教員自身もしっかりとした教科指導力をベースに、個々に多様な「文化度」
を高め、しかも積極的に協働することができる資質が必要だろう。
こんな風に考えていたとき、昔、清水哲雄先生が校長時代に「先生も生徒と同じなんですよ」と
語っていたことを思い出した。「叱咤激励するのではなく、励ます」。この違いは何だろうか。短所
を指摘するのではなく、長所を探し出すことではないだろうか。校長に必要な資質だ。
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