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保護者向けの講演で、こんな話をした。「皆さんは、お子さんがこれからのグローバル社会で
人並みにやっていけるよう願っていることと思います。中高時代に、わが国とは異なる環境に身
を置くという経験をさせ、異なる文化的背景のもとで育った人と交流させて、英語力の向上とと
もに、ものおじしない精神力を育てたい、そう望んでおられるのではないでしょうか。
私立側も、英語教育にさまざまな工夫を凝らし、海外研修だけでなく最近では海外留学、海外
大学進学に力を入れるところが増えていますから、学校説明会等を訪れればますますそうした気
持ちが強くなっていることと思います。ですから学校選択においても、最近は海外研修制度が充
実したところを選ぶ傾向が見られます。
もちろん学校にそうした制度が整っているかどうかは重要ですが、私はそれはあくまで必要条
件だと思うのです。例えば、一人一家庭のホームステイというもっとも恵まれた環境であったと
します。が、現実にはそれがホテル泊とほとんど変わらないというケースも見られます。ほとん
どホストファミリーとの交流がないままに帰ってきてしまう子がいます。どうしてでしょう。英
語力の乏しさがもちろん最大要因なのですが、普段から家で会話していない(男の子)、ホームス
テイ先のファミリーから聞かれる日本のことを知らない、共通の話題にできそうな世界情勢に関
心がない……そうしたことも要因として大きいのです。さらに言えば、やりとりのきっかけとな
る、食事の手伝い、掃除の手伝い……といったことを普段やっていないから切り出せない。
海外研修で成果を上げるには、実はご家庭でのいまの接触の仕方が大事です。会話をし、家の
用事もどんどんさせてください。そうしてこそ十分条件になるのだと思います。」
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