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女子校の学校案内パンフには、「卒業生からのメッセージ」というかたちで、若くして活躍して
いるO Gが数人登場していることがよくある。医師・弁護士といった専門職だったり、誰もが知っ
ている大企業勤務者だったりする。こうしたものを見ながら、華やかに活躍しているのではない
大多数の人たちはどのように生きているんだろうと、よく思う。そうしたとき、酒井順子さんの『地
震と独身』(新潮社)を読んだ。
東日本大震災発生後、テレビ・新聞には「絆」という言葉があふれ、そのほとんどが「家族」の
「絆」について触れたものであった。独身である酒井順子さんは、「報じられていない独身者が震
災後をどう生きてきたのか?」知りたくなったという。この本には、震災後を生きてきた50人の
独身者が登場する。
被災し、やむなく生まれ故郷を離れた人、故郷を出て都会で生活していたが被災地の復興に尽
くしたいと戻った人、何の地縁も血縁もなかったが、ボランティアをきっかけに被災地に住み着
いた人……独身の「身軽さ」ゆえに、人生の方向を自分自身の決断で大きく変えた人が大勢いる。
「自分の人生は自分でなんとかする」という強い決意と、地に足がしっかりついた行動、独身者同
士の「絆」(知らない者同士がネットでつながり、協力し合うという世代でもある)……皆たくまし
く生きている姿に感動した。
5月のある女子校の塾説の最後に、看護師をしている卒業生から校長宛に届いたメールが紹介
された。都内の大きな病院に10年以上も勤務していたが、この春、自らの意思で南相馬の病院に
移ったという。「応援のつもりでしたが、学ぶことがたくさんあり、来てよかったです」。
自分の人生を自分の意思で一歩一歩確実に生きている卒業生。そうした卒業生こそがふつうの
在校生に自信と指針を与えてくれるのではないだろうか。
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