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女子校の国語の先生からこんな話を聞いた。「以前は、説明文より物語文のほうが点を取れる
子が多かったのですが、最近は逆になってきています。主人公や登場人物の心情把握が苦手な子
が増えているのです」。
これは、日々の生活の中で感じていることにつながることではないかと思う。
つい最近、帰りのバスで経験したことだ。降りる人が終わっているのに、いつまでも中扉が閉
まらない。さっさと発車してくれないかなぁと後部座席でイライラしていると、1人のOLが降り
ていった。と、歩行器を車内に運び上げ、次にはおばあさんの腕を抱えて乗せてきた。おばあさ
んが歩行器をステップに上げられずにいたために発車できないでいたのだった。このとき降車口
には女子高生がいた。スマホを見ていたにせよ、当然おばあさんの姿は視野に入っていたはずだ。
が、手を貸そうとはしなかった。
これは1例だが、余計なことにはかかわりたくない、面倒に巻き込まれるのはごめんだ、必要
最低限以外には他人とかかわりを持ちたくない……こんな風潮が広がっているように感じる。無
関心であるから、当然他人の生活、感情、人生等に想像力が働かない。
こんな世間の状況が答案にも映し出されているのだと思う。
また、日本の成年男子は小説を「小」説とバカにして読まない。が、政治家や役人や企業経営者
が、自分の属する組織、階層のことしか考えなかったら、数字でしか人間を把握しなかったら、
社会は動物界と同じような「弱肉強食」の世界になってしまう。
小説はフィクションではあるが、そこに描かれていることは何らかの現実の反映である。自分
とは接点のない世界、そうした世界に生きる人についても想像力を働かせるようになるためにも、
子どもにも大人にも小説を読んでほしいものである。
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