教育天声人語
貴校の「看板メニュー」は注文されていますか?

  レストランには「看板メニュー」といったものがある。シェフが腕によりをかけて出す自慢の
 メニューだ。これはそのまま客がもっとも注文するメニューであることが多い。
 が、学校の場合は、説明会等で先生方が「人間にとってこれは大切な栄養素ですよ」と一生懸
 命説明するメニューに、お客(受験生・保護者)があまり関心を示していず、自己満足に終わっ
 ているということがしばしば起こる。むしろお客はそれとは別のメニューが気に入って選んで
 いたりする。
  P.F.ドラッカーは「企業の目的は、顧客の創造である」とし、「『われわれは何を売りたいか』で
 はなく、『顧客は何を買いたいか』を考えなければならない」と語っているが、顧客のニーズに
 フィットすることを追求し続ければ、学校はどんどん差異がなくなってくる(実際は顧客を真摯
 に見つめれば多様なので、真に顧客に合わせれば違いは出るが……)。
  学校はレストランとは違う。「顧客の創造」以前に、提供したいものがあったから学校は設立
 されたはずだ。だから、個人的には「大切な栄養素」を掲げていただきたいと思う。
  が、お客が年々減っている学校を見ていると、コンサル的な立場からは、「このメニューは最
 初に載せず、後の方に並べた方がいいのでは……」、「原点にはあまりこだわらず、もっと今風
 の調理の仕方をした方が注文されるのでは……」と思うことがよくある。一度、
 ・ ご自分のところの「看板メニュー」をお客がどのくらい注文しているか。
 ・「 看板メニュー」を下ろさずに別メニューを充実させるにはどうしたらいいか。
 ・ よその学校で注文が多いメニューは何か。
 ・ うちの顧客がよその顧客と違う点はどこか。
  そうした観点から考えてみてはどうだろう。

「ビジョナリー」2010年7月号掲載     |もくじ前に戻る次に進む

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