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フィンランド大使館で、フィンランドで20年ほど教鞭をとっていた先生のミニ講演会があった。
通訳を介してなので、十分理解できたとはいえないが、それでも首肯する話が多かった。話の中
身を幾つか紹介したい。
・フィンランドがOECDの学力調査で好成績なのは、先生の資質が最大要因。
・ 教師は人気のある職業で、教育学部は優秀な人材を選抜できている。
・ 教職の勉強は、「教育学」の理論ではなく、もっぱら多様なメソッドの実践を通して子どもに
応じた指導法を身に付けること。
・ 就職後も、いつでも学校を離れてトレーニングできるように、代用教員制度が充実。
・ それぞれの学校に合ったことができるように現場に権限が委譲されている・・・・・・自分がやり
たいことができるから、教師自身が楽しい。
・ 担任教師を支えるサポートシステム(心理学者、カウンセラー、ナースなどで構成)が存在する
ので、不安や責任を一人で抱え込まなくてすむ。
・ 保護者はほとんどが共働きなので、学校行事を手伝うようなことはほとんどない。
・「携帯問題」はやはり存在。子どもは親との通話しかできない携帯電話を持っている。
・「成績差をゼロにする」ことがフィンランド教育の基本精神。政府も、貧しい地区により多く
の資金・人材を投入。学校でも、理解している子とわからない子同士を組み合わせて互いに勉
強させる。校内に競争がないから、いたってフレンドリーな雰囲気である。
うらやましい話ばかりだったが、フィンランドもその先生のお母さんの時代は、歴代大統領の
名前や河川の名前を覚えさせるという教育だったそうである。日本ではOECDの学力調査結果
から学力低下論争が起こったわけだが、2011年からの学習指導要領はフィンランドとは逆のベ
クトル。世界中で、教育というものは常に「ゆり戻し」を繰り返しているものなのだな〜。
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