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「学習案内」化が進む「学校案内」

  「学校案内」が変わってきた。最近学校を作り変えた学校の「学校案内」の多くが、「学習案内」
 とでも言うべきものになっている。開くと、最初から学習システムの話になる。その学校独自
 の学力を高める循環システムが図解で紹介される。1日の時間割も平凡な6時限ではない。1時
 限の前に朝テストがある(個別対応のテストだったりする)。放課後も、清掃・クラブ活動といっ
 た記述ではなく、朝テストに基づく克服テストがあったり、個別指導があったりする。細かな
 文字でびっしり書き込まれた6 年間のカリキュラム。使用する検定外教科書・副教材も、受ける
 校外テストも載せられている。そして難関大学への進学マニュフェストも。
  また頻繁に目にするフレーズがある。「パーソナル」。一人ひとりへの対応こそ、保護者に歓
 迎されるキーワードだ。生徒の学力を高めるためにやれることは何でもやる―そうした強固な
 意志を感じさせる「学校案内」になっている。
  もちろん「情操教育」「学校行事」「クラブ活動」のページも存在する。が、従来の「学校案内」
 に比べるとずいぶん影が薄い。以前この欄で、学校説明会で「ボランティア活動」「広島・長崎研
 修」「礼法の授業」等の取り組みの話をしたら、「まどろっこしい」という反応を示す保護者が出
 てきた、ということを書いた。「学力向上」が学校へ欲求の最たるものである保護者にはこうし
 た「学校案内」は評判がいい。実際こうした「学習案内」の学校の応募者は急増している。
  これが最近の中学入試の現実なのだろう。ニーズを的確につかんでいるからこそ「学習案内」
 になるのだろう。
  が、こうした保護者たちは入学後も子どもにひたすら勉強を強いがちだ。これでは6年もの長
 い間に子どもがつぶれるのではないかと心配になるのである。

「ビジョナリー」2008年12月号掲載     |もくじ前に戻る次に進む

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