教育天声人語
リーダーを育てたかったら…


  最近話題になっている石丸伸二元安芸高田市長と斎藤元彦兵庫県知事には同じ匂いを
 感じる。“自分は優秀な人間だ”と思っている人がヒエラルキー構造の自治体の長になると
 パワハラ上司になりやすい。地位がものをいう組織だからだ。
  私は保護者に講演するとき、『お父さん、お母さんはお子さんを有能にすることにばか
 り一生懸命ですが、私のような高齢になるとわかるのですが、有能なだけで生きていける
 のは40歳まで。それ以降は人から信用され、信頼されなければ生きていけません』とい
 う話をする。
  以前の学校案内にはもっと人間性を育てることについての記述が多かったような記憶
 があるが、最近のそれは学力養成についての記述が多く、人間教育の面では「グローバル
 社会のリーダーの育成」といったフレーズがやたら目につく。それでいてそれがどういう
 「リーダー」なのかはほとんど書かれていない。失礼ながら、さして中身を詰めないで定
 型文のように使っているのではないか、とさえ思ってしまう。
  私だったら、“リーダーとは自分以外の人のことを大切にできる”をまず上げる。それに
 加え、最近では冒頭のよう事例が目立つので、“倫理観 “を付け加えたい。”個“としてま
 っすぐに立っている人、凛としている人だ。昔、教員研修に呼ばれた学校の校歌に
  群れることはない 諂う(へつらう)ことはない
 という一節があった。
  それに加えて、石橋湛山について書いた文章にあった
  権力に阿らず(おもねらず) 衆に媚びず(こびず)
 の精神を育てられたら最高だ。それこそがリーダーの資質ではないかと考える

「ビジョナリー」2024年8・9月号掲載     |もくじ|前に戻る|

(c)安田教育研究所 無断複製、転載を禁ず