教育天声人語
『オレだけはわかっている』 『私はちゃんと見ているからね』


  説明会・見学会シーズンが始まった。親しい先生からメールをもらった。
 「連日受験生や保護者がいらっしゃっています。部活動見学会では、生徒広報部が1 組
 に1 人案内について1 時間程度校内を回っているのですが、普段は学年の中でそれほど
 目立たない生徒が生き生きと案内している姿を見ることができて、微笑ましいです。」
  企業だと、成果を出した人間が評価される。「何、当たり前のことを言っている」と言
 われそうだが、私が先生と接していてホッとするのは、先生は企業人とは異なる視点を持
 っているからだ。上記のメールをきっかけに昔いろんな校長から聴いた話を思い出した。
 「私は、委員長やチーフではないけれども黙々と仕事をしている生徒に心ひかれます。
 目立たず、ほめられなくても周りを見て自分がやるべきだと思うことをやっている、そ
 ういう生徒によって学校は支えられていると感じています。」
 「いろんな人が評価するから、絵には0 点はいない。十人の先生が十人とも同じ計測器
 をもって生徒を見ていたら、生徒は萎縮することはあっても大きく伸びることはないだ
 ろう。生徒を育てるに当たって、先生方の方向性が一致していることは必要だが、オフィ
 シャルな評価とは別に、『はみ出し部分』や『裏面』についても気にかけることが大切だ。
 『オレだけはわかっている』 『私はちゃんと見ているからね』……そんな先生がいてく
 れれば、“負け組”もなんとかやっていけるものだ。」
 「1人ひとりと面談するが、先生は『成績のことは言わない』『小言も言わない』『他の
 生徒と比較もしない』。面談はあくまで『1人ひとりに光を当てる場』というのが中学の学
 級担任の申し合わせになっている」

「ビジョナリー」2024年7月号掲載     |もくじ前に戻る

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