教育天声人語
「優しい学校」は飛躍させない


  3 月21 日の日曜日、小学校受験の保護者を対象に講演をした。最後に、蛇足ですがと
 断って、「心配性の保護者からは大物は生まれにくい」という話をした。というのは、今
 回の中学受験の相談の中でこんなことを言う保護者に出会っていたからだ。
 「うちの子はまだ幼く、自分で時間管理はできず、指示しないと何を勉強したらいいか
 わかりません。ですからある程度管理型の学校がいいかと思っています。が、きついと
 ころは望みません。理科実験や探究に力を入れていて、提出物には厳しくないところが
 いいです。小テストは頻繁にあり、赤点をとったら補習をしっかりやってくれるところ。
 そんな優しい学校を探しています。」
  子ども自身を成長させようと手を打つのではなく、周りが環境を用意してくれること
 ばかりを望む―これに似たようなことを言ってくる人は結構いる。
  会った人、本などを通じて、私は人が飛躍するキッカケは次の3 つと考えている。
 ・これまで育ってきた環境とまったく異なる環境に身を置いたとき
 ・これまでやってきたことと異なる、新しい仕事、分野に挑戦したとき
 ・自分の力量を超えたことに挑んだとき
  つまり、優しくない環境、易しくない仕事(学習、活動)ほど成長させると思うのだ。
 上記のような生徒・保護者に寄り添うのではなく、生徒にはたやすくないこと、すぐに
 は乗り越えられないこと、壁を用意していただきたい。いま嫌われても、将来は感謝さ
 れる―そんな学校であっていただきたい。

「ビジョナリー」2021年4月号掲載     |もくじ前に戻る

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