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イギリスの新首相に女性のテリーザ・メイ氏が就任した。メイ新首相は、経営者報酬に関心を
持っているという。グローバル化の進展で、各国で格差が拡大し、一部の経営者が桁違いの報酬
をもらっていることに反発が起きている。そうした国民感情に沿ったことなのかと思っていたら、
それだけではないようだ。
イギリスの大企業の最高経営責任者(CEO)の平均報酬は円換算で7.1億円、これに対してアメ
リカのそれは14.3億円と半分に過ぎないが、内訳が異なる。イギリスでは業績や株価にかかわら
ず保証される基本報酬が全報酬の約25%を占め、アメリカは10%強にとどまる。これが企業価値
を長期的に高める動機を弱くし、投資や研究開発の不足を招き、産業競争力を低下させたとされ
る。それで、株主総会で意見表明できる制度を強化しようと考えているそうである。
この報道に接して思ったことは、学校法人の理事の報酬についてどうこうということではない。
理事会が学校の価値を長期的に高める視点を持っているかどうかということである。定員が充足
されないと、生徒募集の数字について理事会や評議員会で現場が叱責されるという話をよく聞く
が、生徒募集がうまくいかない根本的な原因は実は「募集対策」にあるのではない。担当者の熱意・
アイディア・努力の差異はもちろん大きいが、それ以上に大きいのは学校そのものの魅力だ。そ
の魅力を作るために、何に投資するのか、理事長・理事会こそ長期的視点に立って判断していた
だきたいものである。
学校というと、現場の教員の力量が問題視されるが、変化の激しい時代、理事長・理事会の時
代感覚、構想力、人脈が学校の繁栄を左右するとも言える。大学との関係強化、海外ネットワー
クの強化(ネイティブの採用等も)、構想に合致した校長・教員のスカウト……有識者として意見
を言うだけでなく、やることは山ほどある。
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