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ある雑誌の連載で「次号では就職を扱ってほしい」と頼まれ、データをいろいろ当たってみた。
2014年3月に文部科学省と厚生労働省から発表になった就職内定率の数字だが、文系が81.2%
なのに対し、理系は90.7%と9.5ポイントも理系のほうが高くなっている。高校生(ご家庭)が理
系志向になっている背景のひとつとして、こうした就職状況があるのだろう。また、この数字を
見ると、「就職難」「氷河期」という表現がまるで当てはまらないように感じる。が、これは、分母
が就職希望で就職活動した学生数で、端から就職をあきらめている学生、就活を始めたけれど断
念してしまった学生は入っていないのだ。
一方、2014 年3 月に大学の学部を卒業した者の進路内訳を見ると(分母を卒業者数として計
算)、正規の職員等になった者は65.9%しかいない。そのほか大学院・専門学校等の進学者が
12.1%いるが、残り22%は、正規の職員等でない者(3.9%)、一時的な仕事(2.6%)、就職も進学も
していない(11.1%)、その他<不詳・死亡者等>(4.4%)である。正規の職員等の65.9%+進学者
の12.1%=78%以外は安定した進路につけていない(臨床研修医1.6%は統計の枠外の扱いになっ
ている)。
社会全体としても、ここ数年の政策で雇用自体は増えているが、それは非正規雇用だけで、正
規雇用はむしろ減っている。そうした社会への入り口で、5人に1人以上がまともなスタートライ
ンに立てていない。調べていて、背筋が寒くなった。
このような現実を知らせて、生徒に「22%に入らないよう」努力を促すケースが多いかもしれない。
が、そうではなく、こうした社会を変えてやろうという熱い気持ち、エネルギーを持った生徒を
作っていただきたいと思うのだ。
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