千代田女学園中学校・高等学校 | 東京都 | 女子校 |
はじめに、理事長の挨拶がありました。
- 今年4月に就任した。父は昭和23年から38年間、千代田女学園に奉職し女子教育に努めていた。こういったことで、本学園には私もご縁がある。
- これから、現場のいろんな方々にお会いし、耳を傾け、学校経営に生かしたい。
続いて、学校長から挨拶がありました。
- 私は金沢市で校長をスタート、大阪へ移り、そして東京に来させていただき3年目になる。かつて、1学年200人の生徒数であった本校だが、現在は少なくなっている。人と人のつながりを大切にしながら、何ができるのか考えたい。
- 世の中が変わり、今は進学を強く打ち出していかなくてはならない。本年の日本経団連の調査報告書がある。「大学生の就職にあたってどういう点を重視したか?」では、こんなグラフがある(左側が高く、右側が低い)。「学業成績」「大学所属ゼミ」「学校名」は右のほうに位置していて、左のほうには「コミュニケーション能力」「協調性」「主体性」「チャレンジ精神」が並んでいる。このグラフを見て私は、「そうか!」と思う。本校では「生涯偏差値向上」のための教育を行っており、生徒は「主体的」に育っている。これからも自信をもって、生徒のベースづくりをしていく。
- お釈迦様の言葉に、「根を養えば、木は自ずから育つ」がある。このベースの中で、進学率を高める教育をしていきたい。改革をしていきたい。新しい先生にも来ていただき、今年は体制が整ったと思う。
次に、「教育内容等について」、教務主任より説明がありました。
- 大きなポイントは2つ。「少人数制によるきめこまかな指導」と「進路保証」である。
-
「少人数制によるきめこまかな指導」について。一人ひとりを大切にしている。たとえばHR で注意をするときは、あとで個人的に呼んで注意を重ねるとか、言い過ぎた生徒には、あとでフォローするとかだ。
保護者とも時間をかけている。3者面談で、担任は1時間半もかけるときがある。母親が夢中になって乗ってきてくれる。後日電話したときに、顔を思い出せるのですぐに分かり合える。 3人の子どもが本校で学び、都合15年間保護者を続けていた方もいた。生徒と教員は、少人数であるがゆえにコミュニケーションは密で、強い信頼関係がある。 - 「進路保証」について。本校は武蔵野大学に84名の指定校推薦枠がある。また、日本女子大や東洋英和女学院、関西では京都女子大など多数の大学に推薦枠があり、きちんと学んでいけば進路は保証される。
- 「国際理解教育」にも取り組む。さまざまな国の人々と共に生きることのできる人材を育成したい。中1では「フレッシュマンキャンプ」で全員がイギリスへ。中2では「留学生交流キャンプ」で同じくイギリスへ。そして中3では「豪州海外総合セミナー」がある。9日間のホームステイだ。
- 「学力ステップアップ」では、朝のミニテスト(英・数・国)で基礎の定着をはかる。朝読書も毎日行う。希望者には土曜プログラムがあって、茶道・挿花・ジャズダンス・英検講座などが学べる。
- 校長は6:45から校門に立ち、登校してくる生徒一人ひとりに挨拶の言葉をかける。
次に、「進路状況について」、入学広報主任から説明がありました。
-
本校の進路の特徴は、(1)「浪人する生徒が少ない」。今年、未定者は1名のみ。大学進学率は70.7%。不況のため、短大や専門学校に進む生徒がいて、前年より下がった。
大学進学を希望すれば、100%可能となる。それは、指定校推薦に109校・455学部・531名の枠があるため。1学年の生徒数を超えている。だから教育内容が充実した大学に進学できる。武蔵野大、龍谷大、京都女子大は同じ宗派で特別枠がある。 -
2つ目の特徴。(2)「学力以上の大学に合格している」。「快勝指数」というものがある。(合格校の偏差値−本人の模試偏差値)で算出する(大きいほど得)。指定校推薦を使えば「快勝指数10以上」の大学にも合格できる。
「AO入試・公募制推薦」にも強い。小論文指導・志望理由書指導・面接指導を、マンツーマンで行っているから。1対1でディスカッションしながら行う。生徒は自分にとって当たり前のことは書かないのが普通。話を聞くと、いいものをたくさん持っている。「ああ、それ、いいじゃない!」となる。こうして、生徒と担当教師は徹底的に話し合い、何度も書き替えるのだ。担当教師はかかりきりになっている。 - 3つ目の特徴。(3) 「一般入試受験者のバックアップ体制をとっている」。優遇措置を利用して武蔵野大学に合格を確保した上で他大学に挑戦できるから、浪人する必要はない。
最後に、「平成22年度入学試験概要」について入学広報主任より説明があり、終了しました。
私の感想
終了後、授業見学に参加しました。生物実験室ではちょうど中2生が「ウシガエルの解剖」に取り組んでいるところ。腹を割き、内臓を取り出し、ピンで手足を留めて、だいたい解剖が出来ていました。生徒たちはそれを解剖図にスケッチしたり、白い太い坐骨神経をピンセットでつまんで見せてくれたり……。別の生徒が私に、シャーレの中の胃や肝臓を見せてくれたので、「楽しい?」と聞くと、「うん」とかわいいうなずきが返ってきました。「この後、墓をつくって成仏させてあげます、本校は仏教系なので」とは、案内の先生。
特別教室では、被服の授業中。選択している生徒は4名でした。贅沢な少人数教育ですが、校長の挨拶にもあったように、生徒数が増えればさらに活気が出てくるでしょうね。学校経営の難しさを感じた一方、教職員にはより良い学校づくりに向けての強い意志を感じました。和やかな雰囲気の学園です。
(c)安田教育研究所 無断複製、転載を禁ず