吉祥女子中学・高等学校 東京都 女子校

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 はじめに、校長からの挨拶がありました。

  • 今、授業を終えてきました。きょうは、私が吉祥の先生方にどういうことを期待しているかを話したい。
  • まず、「いい授業」をしてもらいたい。研修を重ねてほしいと言っている。春と秋の3週間ほど、先生同士で互いの授業を参観する週間をつくっている。相互に授業を見せ合って、いい授業に結び付けていくのがねらいだ。
     また、年に2回、学習アンケートを生徒に実施している。アンケートには、生徒が授業にどのような満足・不満足を感じているか、授業に対しての評価も含まれる。
     私立では研修制度が採りにくい。そこで、外部団体の授業研修を活用している。多くの先生が何週間もかけて参加する。昨年は30名を超える先生が参加した。こうして、本校の授業レベルを引き上げている。
  • 2つ目は、先生には授業と同じくらい、「授業以外で生徒と一緒に汗をかいてほしい」。たとえばクラブ活動がある。クラブ活動を通じて生徒は、意見の違いがあることを経験しながら、自分と友だちは違う人間であり、どう折り合いをつけるかを学んでいく。自分と友だちは違う人間であり、価値観が違う。それに気づくことは、社会性を身につけていく基本となる。そこに、先生も一緒になっていく。
  • 3つ目。本校の生徒は明るく元気である。それには先生も、明るく元気でなくてはならない。生徒には「自主性を持て、自分の意見を持て」と言っている。先生もそれを持っていなかったら、生徒に伝わるわけがない。だから学内では、先生は自由に何でも言えなくてはならない。若い先生も、遠慮しないで自分の意見を言えることが大切である。
  • 以上、先生が、授業の中身を凝らし、生徒と一緒に汗を流し、自分の意見を持つ、の3つを実践できるよう今後も雰囲気づくりに努めていく。

 次に、学校紹介のDVD上映がありました。いくつか印象に残ったことを記します。

  • 朝礼で、一人の生徒が自分の名前を書いたカードを持って立ち、「名前の由来」をエピソードを交えて話していました。こうしてクラスでは、生徒が相手のことを知ったり、発表力が培われていったりするのでしょう。
  • 1時限目、中学英会話の授業風景が流れました。生徒がネイティブの先生に、旅行先でのスナップ写真を見せながらそのときの様子を英語で話します。先生から問いが発せられ、生徒はまた話します。こうして、両者の間で英会話が成り立っていきます。
  • 自主自律をモットーに、放課後はクラブ活動に積極的です。クラブ活動中の運動部の生徒が話していました。「同じことに頑張る友がいて楽しい」「時間の使い方が上手になった。授業に集中してその日のことはやってしまうので、部活動の時間がしっかりとれる」。勉強と部活の両立がうまくできているようです。

私の感想

 朝、校門から説明会場へ向かっていくと、まず目に入ったのが図書館でした。ガラス張りで、そこでは多くの生徒たちが本を探していました。説明会終了後、校内案内に同行したのですが、朝見た図書館に隣接してパソコン室がありました。情報を「調べる」には本のほうがいい場合と、パソコンのほうがいい場合とがあり、隣接していることで調べ学習の使い勝手が良さそうです。よく考えられています。
 進路指導室には関連資料本が並んでいましたが、吉祥らしいのは、卒業生の「受験体験記」がファイルされていることです。「私の勉強法」「入試の傾向」「後輩へのアドバイス」などが丁寧に綴られていました。先生の言葉より、よく知っている先輩の体験記のほうが生徒のウケがよいようで、よく読まれているそうです。
 中学の理科実験室ではちょうど解剖観察の授業で、鶏の手羽先を片手にピンセットやハサミを使っていました。あとで、実験レポートにまとめるのだそうです。大学に進学した先輩たちは、本校で学んだ実験レポート作成力に感謝しているとも聞きました。
 説明会で入試資料をもらったときにも感じたことですが、吉祥女子は、受験体験記とか実験レポートとか、きちっとデータ化して学びに役立てている印象を強く持ちました。もう1つ印象といえば、キャンパスは閑静な住宅地にあってコンパクトながら、生徒の利用勝手が良いように機能的です。学校全体が実によく活用されていますね。

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