塾対象説明会訪問記
 
聖学院中学校高等学校 東京都 男子校
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初めに、学校長の山口博先生から、「きのうも、きょうも、いつまでも」と題した挨拶がありました。山口先生は牧師でもあるそうです。

・聖学院は今年102年目を迎えているが、聖書を土台にしている点は変わってはいない。
先日、角川新書「千年、働いてきました」という本を読んだ。千年以上も続いている会社があるそうだ。100年を超える会社はたくさんある。その中で、ある有名な会社の社長さんの言葉にハッとした。
「ずうっと残り続ける組織というのは、コア・ミッションがちゃんとしている」。ミッションとは使命とでもいえようか。やるべきことを知っている組織は残り続ける……。

・聖学院のコア・ミッションとは何なのか?
次の3本柱である。
1) キリスト教教育……102年前に創設されたとき、キリスト教に基づいて教育することを目的とする、とある。
2) 学習指導……聖学院の前身は英語学校だった。今も“英語の聖学院”として充実している。
3) 生活指導……生徒には挨拶をちゃんとしようと言っている。毎朝、校門に立って「おはよう」と挨拶し合っている。

・3本柱だけでは家は建たない。梁も必要だ。

梁の1つが部活動。私はこの聖学院高校の卒業生だった。その頃、私は身体が小さかった。先輩に育てられたと思う。今、6年間一貫教育で、中学生は大きな高校生を見、一緒に部活をやる。

梁の2つ目は男子校。男子の中でもまれて社会性を身につけ、女子を大事にするといった教育をしている。

3つ目の梁は体験学習。中2で山登りをする。3泊4日で2000m 級の蝶ケ岳へ行った。テント生活は大変で、自分で全てをやらなければならない。一皮むけて男らしくなって帰ってくる。中3では農村体験学習をする。農家に泊まって植林と田植えの体験をする。都会では体験できないことを、20数年前から始めている。

・教育とは何か? 第2次世界大戦後、焼け野原になった東京で、腕のいい大工が集まって家を建てたとか。しかし、建った家はゆがんでいて、うまく建っていなかった。なぜか。大工道具の曲尺が粗悪品で寸法がずれていたのだ。“ものさし”“基準”が良くなくては良いものはつくれない。

聖書にはものさしの意がある。聖学院の基準は聖書である。礼拝を大事にする。聖書の本質は愛。私たちは神様から愛されている。これがわかってこそ、教師は生徒を愛することができる。

・時代は変わる。今、私学にとって厳しい風が吹き荒れている。米国金融不安から始まった実体経済への悪影響は今後どうなるのか。生徒は私学に来てくれるのだろうか……。しかし、そんな影響に振り回されてはだめなのだろう。いろんな風が吹くが、流されないようにしたい。

続いて、「原点に戻れば未来が見える」と題して、校務部長・平方邦行先生の話がありました。

・これまで学内改革をやってきたつもりだが、これからも出発点をしっかり認識して教育内容をつくっていかなくてはと思う。聖学院は102年になるが、出発点になったのは神学校と英語学校と旧制中学だ。だから聖学院には3つのDNA がある。それぞれ、キリスト教教育・英語教育・男子教育である。今後も、この3つをしっかり教育していけばいいと思う。

・聖学院ではOnly One 教育を実践している。しかもそれは「Only One for Others」。大事なのはfor Others(他者のために)だ。これが生徒に求める生き方である。これからの不透明な社会で生きていく生徒にとって、何が重要なのかを教育していきたい。

・聖学院の学校づくりは、1982年から中高一貫を強く意識してきた。中学入試が一般的でなかった時代に、教育の連続性と生徒指導の連続性をやっていこう、12歳〜18歳の生徒から信頼の得られる教師になろう、とやってきた。時代の変化とともに状況は変わったが、本質は変わっていない。

・S1・S2クラスは英語だけで授業を展開している。英語によってモチベーションを高めたい。1つのことに自信を持たせたい。そうすることで、未来が見えてくるはずだ。

・これからの生徒は、日本の大学だけでなく海外の大学にも目を向けて進学していくだろう。世界の大学ランキングがある。日本の大学は100位以内に4校がランクインしているだけだ。東大が19位、京大が25位、大阪大が44 位、東京工大が61位。1位はハーバード大、2位はエール大、3位がケンブリッジ大である。聖学院では100位以内の大学から指定校推薦を得ていきたい。まず、43位のクイーンズランド大(オーストラリア)から指定校推薦を獲得した。これからは国際化がどんどん進む。生徒の希望があれば学校としてそれに応じていかなければならないだろう。

<私の感想>

聖学院の説明会は他校とは違った印象を持ちました。時流に流されず、しっかりとこの時代を生き抜いていく人材の育成を、この学校が課題としているからなのでしょう。入試説明会資料に学校長のこんな一文がありました。「世界のあらゆる問題を自分たちの問題として受け止める感覚がないとこれからの時代、国際的に生き抜いて行けなくなりそうです。あらゆる問題が密接に関連しあっていて、全体を見渡す視野の広さがないと的確な対応が難しくなって来ております」。


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