塾対象説明会訪問記
 
白梅学園清修中学校 東京都 女子校
▲学校ホームページ(クリックで表示)
説明会資料はコンパクトで、見やすくファイリングされていました。大量ではないですが、配慮が感じられました。開校3年目。来年度は1期生が高校課程に進級するそうです。

はじめに、中高一貫教育にかける思いについて、副校長・柴田哲彦先生から話がありました。

・ この学校に来る前は、高校ラグビー部の監督をしていた。チームはボロボロ。地域には50のラグビー部があり、日本一もいた。一線級と戦えるようになる3年の秋まで、2年半の時間が与えられていた。心に傷を持ち、劣等感にとらわれている子どもたち。まずは、メンタル面でマイナスの状態から0(ゼロ)ポジションへ戻すのに時間がかかり、戦える目標が見えてくるのは高3の夏。“こころ”が安定した状態になってはじめて戦えるようになる。それから3ヶ月間、勝つための戦術を与えることに・・・。

・本校では6年間の時間が与えられている。生徒たちは小学校時に、出来る・出来ないといった思いを味わい、目標をあきらめてきた子どもたちが多い。保護者は「なんで大学入試に直結する勉強をしてくれないんだ」と言うが、そうではない。メンタル面で傷ついており、6年間はもちそうにない。だから、2年間で走れる状況にもっていく。次の2年間で0ポジションに戻す。そして、最後の2年間でターゲットを目ざさせる。

次に、生徒の育て方(難関大学合格へ導く教育課程と題して)について、教務部長・高添雄司先生から説明がありました。

・入学時に学習の習慣がついていないような生徒も、ゆったりしたカリキュラムと、のびのびした環境の中で、私たちが予定したレベルにきたと手ごたえを感じている。

・清修中学校は、白梅学園高校とは混じらない。別課程・別制服・別教員である。

・進学は、東大をはじめとした国公立大、早慶上智などの難関大学を目ざす。

・難関大学へ生徒を導くために、カリキュラムは「国立型理数系課程」を敷く。

それとは……。
 *全員がセンター試験を受験  *理系の進路を拡大 
 *学際的知力の拡大      *理系から文系への転向余地
 ができるようにすることだ。

・英語は、全国NO. 1の最大単位数である。

・もう1つ、難関大学へ導くために考査を工夫している。(パワーポイントを使いながら)中1代数のテスト問題の1つに、問題について説明したあと、「自分で文章題を作成しなさい」を出した。結論から先に考える力を見るためで、この問題に対しての定着度合いがうかがい知れる。論理をたどれるかを見る。中1幾何の問題では、「正8面体の体積を求めよ」を出した。東大の入試問題につながっていくように。
英語では、記述式を多くして、わかりやすく要約させる問題を出した。要約は東大の入試問題を意識したものだ。英作文も、東大の入試問題を意識して出題している。

・これらの考査の評定について。評定「5」は、国公立大・早慶上智レベルである。

・生徒に対しての基本の構えは、生徒の心の安定と、学力を阻害する要因の除去にある。教員はどんなに忙しくても、目の前の生徒を優先するようにしている。そのためのツールとしては、「オープン授業」「随時の面談」「生徒の人間関係の観察」などだ。

・本校は後発なるがゆえに、他校とは異なる発想をしている。
1)従来の学校の常識を疑う。
たとえばチャイム1つをとっても、必要なのか? 
2)理念と言動を合致させる。
たとえばスチューデントブックに、3時以降寝るまでの間の心のヒダを生徒に記入させるなど、きめこまかい指導をしている。

続いて「基礎学力と考える力を問う」と題して、入試広報の橋屋光孝先生から話がありました。

・21年度入試のねらい。受験勉強でくたびれてしまっている生徒ではなく、余力があり、いろんなことに興味がある生徒をとりたい。柔軟にものを考えられるか、未知の問題を前にして考える力があるか、を見たい。理・社は、世の中に出て社会に貢献できる人間に育ってほしいので、時事問題、なかでも環境問題にどれだけ興味・関心をもっているかを問う。

<私の感想>

個性的な学校ですね。とくに、東大を意識したような“国立型理数系課程”のカリキュラムや、“定期考査”に、個性を感じました。実によく考えられています。説明に立つ教員の熱意も感じられました。
印象は、全て“出口”(難関大学進学)の成果を上げる目的達成にあるようで、“在学中”はもちろん、“入口”(中学入試)までも、最大限の努力を払っている様子。中高一貫教育を受けた1期生が大学進学する3年後、注目を集めそうです。


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