教育天声人語
私学の“多様性”が素晴らしい


   前号に続いて、この2月間の私学とのさまざまな出会について記してみよう。
 ・沖縄尚学高校附属中学校の屋比久校長がいらした。空手が必修であるとは知っていたが、4
  流派あることは知らなかった。生徒が自分で流派を選ぶ。89%の生徒が高校卒業までに黒帯
  を取得する。“自分で選んだ”から頑張れたのではないだろうか。
 ・「東京女学館 広尾移転100周年記念式典」があった。プログラムに「威風堂々」の
  演奏があった。なんと演奏者は、最年少は小1の6 歳、一番上は生徒の祖母で70 代。
  生徒の父親、男性教員も参加という女子校とは思えない多様さ。「インクルーシブ・
  リーダーシップ」を標榜する東京女学館らしいメンバー構成だった。
 ・「学校法人小野学園90 周年記念式典」があった(現校名は品川翔英)。新校舎見学
  にも参加。廊下側の壁がない教室は私学では珍しい。驚いたのは、教員室が“フリー
  アドレス”だったこと(決まった席がなく、その日により違う場所に座る)。当然机
  の上にはコード以外何もない。机上にうずたかく教材類が積まれている光景を見慣れ
  ているので教員室という感じがしない。それ以上に驚いたのは、1 階以外の男子トイレ
  がすべて個室だったこと。いろんな面で“進化”していた。
 ・「山脇学園有尾類研究所の開所式」があった。全国から両生類のそうそうたる研究者が
  一堂に会してさながら学会の集まりのよう。西日本最大の両生類の研究拠点である広
  島大学の教授が話されたが、「山脇学園の有尾類研究所には研究員(生徒)が20 名以
  上もいるそうで、広島大を上回る日本最大の研究所と言える」。最高の研究者を身近に
  感じられたこの日は、生徒の学びへのモチベーションもものすごく高まったに違いな
  い。
   私学の多様性はほんとうに素晴らしいと思う。

「ビジョナリー」2023年10月号掲載     |もくじ前に戻る

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