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このところ『日本の電機産業はなぜ凋落したのか』(桂幹著 集英社新書)、『買い
負ける日本』(坂口孝則著 幻冬舎新書)といったたぐいの本を読んでいる。よく「失
われた30年」とか「貧乏になった日本」とか言われているが、実際の経済活動のシー
ンではどのようなことが起こっているのか知りたかったからだ。が、読んでいるうち
に、私学経営にもつながりそうなことがいくつもあった。で、取り上げてみよう。
私が30代のころ、サムスン電子は三星電子といって、その製品は「安かろう悪かろ
う」の典型だった。それが今では日本の電機産業が束になっても勝てない世界的大企業
になったことはご承知の通り。その一方で日本の電機産業は凋落した。
・大きな変化が起こる時は、あとを追うものには絶好のチャンスであり、先を行くもの
には深刻なリスクとなる。
・自社の強みだけに拘泥し、ユーザーの本質的なニーズに目をつぶった。
「買い負ける」のは資金不足と決断の遅さからだと考えていたが、日本企業、日本人
のキャラクターにも原因があった。
・時代や環境が急変し対応が求められる時、日本企業は杓子定規すぎて対応できない。
・一例:海外企業からの段ボールに、お菓子のグミが入っていた。日本企業は、不良レ
ポートを要求し、品質改善体制の構築を依頼し、緊急のテレビ会議の開催を要求した
→取引先から付き合いを断られた。
硬く、真面目な“マニュアル人間”を育てるのではなく、自分で考えて判断する柔軟
な“臨機応変”さや新しいことにチャレンジするエネルギーを有した生徒(教員も学校
も)を育てなければ、日本のこの停滞状況は変わらないと肝に銘じたい。
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