横浜雙葉中学高等学校 神奈川県 女子校

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 「本校の教育方針」が学校長からありました。授業を終えてからでしたので、説明会の最後です。

  • 私は高3 の授業を持っている。いま終わってこちらの会場に来た。私は国語が専門だが、宗教を教えている。
  • 今の子ども達の「自尊感情」について、アンケート結果が報じられていた。残念なのは、自己肯定感が低いということ。アメリカ、中国と比べると日本の子ども達は極端に低い。日本の子どもたちの7 割が自分に自信を持てていない。たとえば、4 科の中で1 科でも失敗すると、「ダメじゃない」と言われ尻を叩かれる。子どもは「自分はダメなんだ」と思い込んでしまったり、自分自身とたたかって悲鳴を上げている現実がある。
  • なぜ、勉強するのか? なぜ、中学受験をするのか? が見い出せていないのだ。本校の高3 生に「なぜ、大学に行くのか?」について感想を書かせたところ、「自分独自の価値を見い出すために。競争するためではない」とあった。人はだれもがミッションを与えられている。人はすばらしいものを持っている。それを発見するために勉強をするのだ。自分の可能性に向かって頑張る。さらに感想文には、「自分の個性を発見したり、自分の夢を実現するのであれば、勉強は喜びのためにするのですね。勉強は”楽習”なんですね!」 
  • 「牛車の話」がある。牛車を動かすには、牛を叩かなければならない。牛とは「目的や夢」。なのに私たちは、車を叩いてしまう。私たちは簡単に頑張れと言ってしまうが、本当は夢を見つけさせることではないか。
  • 学校選びは、結婚の相手を選ぶように、ちゃんと選ばなくてはいけない。偏差値だけで選んでしまっては楽しくない。大学へ行っても、モチベーションを維持できないでやめてしまう。偏差値だけで判断するのではなく、ぜひ、学校を知ってほしい。
  • いろんな学校がある。私たちの学校は、子ども達の心を育むミッションを与えられている。「心の偏差値」「心の絶対値」を高めたい。そんな子ども達を育てている。どんな子ども達に来てほしいか。条件は1 つある。雙葉に来たい、雙葉で学びたい、という子。その気持ちがあれば、頑張れるはずだから。その思いや期待を大切にしたい。だから、私たちの学校では面接をする。データだけで結婚しないように。学校に来てもらって、データを超えて、インスピレーションというかフィット感を大事にしてほしいのだ。教師や学校の雰囲気を感じに、ぜひ本校に見学に来てほしいと思う。
  • この時代に、私たちはていねいな入試をしたい。面接で、何年も一生懸命学んできた子ども達に会ってみると、気持ちが通じる。この出会いから、つながりが出来る。入学してくると、もうつながりが出来ている。「あのとき、こんな話をしましたね」となる。
  • 横浜雙葉小学校があるのは、やっぱりプラスである。小学校から上がってきた生徒と中学受験で入ってきた生徒の両者の感性と知性がミックスしてさらに互いを高めることができる。教師だけではできない教育効果がある。
  • 横浜はミッションスクール発祥の地である。異国情緒豊かなこの環境を見てください。この山手エリアに4 つのミッションスクールがあり、インターナショナル校もある。6 年間をこの地で過ごすと、価値観が変わるようだ。ぜひ、学校を見てください。

 「本校の歴史と入試面接について」、副校長から説明がありました。

  • 本校は、明治5 年に横浜に降り立った「幼きイエス会」の修道女・マザー・マチルドによって創立された。貧しい子ども達、親のいない子ども達の養護施設を準備の段階から始めた。その様子を見て、外国人居留地に住む外国人から子ども達を教育してほしいとなり、横浜紅蘭女学校が開設された。その後、同じ設立母体の姉妹校が雙葉の名称に統一され、横浜雙葉となった。東京・四谷の雙葉や静岡雙葉など5 つの姉妹校があるが、本校が一番の“お姉さん校”である。2000 年に創立100 周年を迎えた。校訓は「徳に於いては純真に、義務に於いては堅実に」である。
  • 入試面接について。保護者1 人と受験生が一緒に面接を受ける。3 人の教師が質問するが、思ったことを答えてくれればいい。面接で不合格にしたことはない。

 「本校の教育の特徴と国語の指導・入試について」、教頭から説明がありました。

  • 本校はトータルな教育が特徴である。トータルとは、総合的に学ぶということ、学んだ知識を統合することである。中学1、2年では少人数授業で基礎力を充実させる。学習習慣もしっかりつける。生活習慣ができていないと学力が伸びないので生活指導も行う。
  • 高校から英語・数学の習熟度別授業が始まる。特徴は、面談をこまめにやっていること。HR で生徒の表情が変わっていたら、シグナルを読み取り対応する。
  • 学力を何に使うか? 今の自分があるのは、両親をはじめとして支えてくれる人がいるから。将来は、自分の学力を社会に還元していく。

 「本校の進路指導と数学の指導・入試について」、学習指導部長から説明がありました。

  • この春、東大に11名が現役合格した。「どうやって指導したのか」と聞かれるが、正直、何も変えていない。特に学力が高い学年というわけでもない。生徒が頑張ってくれたからとしか言いようがないが、あえて探すなら、“第一志望のこだわりが強い”学年だったといえる。第一志望を変えずにチャレンジしていった。友だちの存在も大きかった。「支え合いながら、励まし合いながら」が結果につながった。例年に比べ、東大への受験生も多かった。16 名受験して11 名が現役合格した。

 「社会と理科の指導・入試と帰国生入試について」、広報部長から説明がありました。

  • 理科教育は、実験観察の時間を多く設定している。大学との連携もしている。昨年、生徒を連れてお茶の水女子大へ行ったが、今年は東大薬学部と医科学研究所を予定。研究するとはどういうことか、若手研究者の様子などを見てきたい。

私の感想

 横浜雙葉を訪ねるにあたり、「港の見える丘公園」から港を一望し、「山手外国人墓地」の入り口をくぐってたくさんの墓石を見、異国情緒を味わいながら歩いていくと、校門にたどり着きました。学校は抜群の環境の中にありました。確かに、6年間通うことで価値観が変わりそう。
 説明会の冒頭、「マーガレットの花のように」と題した学校紹介のビデオ上映がありました。たくさんの年間行事が映りましたが、その中でいちばん印象に残ったのは「田毎の月」でした。運動会恒例のダンスで、高3生が60年近く踊り続けてきたそうです。グラウンドに制服を着てクラスごとに輪をつくり、保護者や在校生、先生たちに感謝の気持ちを込めて踊る様は、感動ものです。

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