本郷中学校・高等学校 | 東京都 | 男子校 |
はじめに、学校長から挨拶がありました。
-
本校の教育目標は「強健」「厳正」「勤勉」であり、教育方針は「文武両道」「自学自習」「生活習慣の確立」の3つである。生徒にこれら3つをどう実践していくか。
文武両道では、クラブ活動に力を入れている。自学自習では、生徒が自分でこれからの学習予定の1週間、1ヶ月、1学期、1ヵ年の先読み計画をどう実現できるか、培っていきたい。生活習慣の確立では、挨拶・感謝・思いやりを、日常生活のなかで定着させていきたい。これら3つについて、昨年10月以降の具体的取り組みを報告する。 - 11月にマラソン大会を実施した。中学生は7.4km、高校生は11kmを走り、中学生全体の平均タイムが60秒短縮した。高校生では40秒の短縮だった。時間短縮の評価だが、昨年、人工芝のグラウンドが完成し、今までになく活発に運動している。「生徒が明るくなったね」との声も聞く。こうしたことが、時間短縮に現れたのだと思う。
- 1月〜3月は、「日経STOCK リーグ」で中3生5人グループが高い評価を受けた。STOCKとは企業の株式のこと。経済を体験して学ぶもので、体験レポートにまとめて応募。全国で82校が応募した中で、本校の中3グループが中学生部門の最優秀「部門賞」を受賞した。
- 日本物理学会では日本の物理学の振興に取り組んでいて、「ジュニアセッション」の部門がある。そこに、本校の科学部の生徒が研究をまとめて報告。100通の中から奨励賞をいただいた。
- また、学年全体が評価されたこともあった。中3の修学旅行で奈良へ行った。そのときのこと。奈良のお寺に写経を納めに行かれた方から手紙をいただいた。奈良で、すがすがしい生徒さんに出会った。立ち居振る舞いが一般に言われている高校生のようではなく嬉しかった、と。
-
さて、これからの本郷の新しい取り組みを報告したい。
学習活動では、これまで高2から「特進コース」と「進学コース」に分かれていた。特進コースは、東大・京大・東京工大・一橋大の4大学を目ざすコース。進学コースは、国公立や難関私大を目ざすコースだった。ときに、本郷の進学実績は特進に支えられているのではと言われているが、実は進学コースからも難関大学に進学している。今年、北海道大学医学部に合格した生徒は進学コースからである。進学コースからも難関大学を志望する生徒がいるので、進学コースに新たに4大とは別の旧帝大を目ざす「 II コース」を設けて、進学コースを「 I コース」「 II コース」の2コース制とした。今年の高2生からスタートしたところである。
続いて、高校教頭から、現況報告と大学合格実績の報告がありました。
- 教員構成に5人の新任の先生が加わり、専任教員の平均年齢が39.4歳と若返った。各学年6クラスに12名の教員だから、教員2人で1 つのクラスを担当することになる。
- 生徒が中学職員室に入るとき、これまでと変えて、入口のところで、「失礼します。○年○組の△△です。××先生に用があって参りました」と言うようにさせている。
- 中学では基礎力の徹底をはかり、1、2年生は均等のクラス分けをしているが、中3になると得意不得意が出てくる、興味も出てくる。そこで数学は習熟度別授業を展開している。また、中3からは特進コースの予備クラス(2クラス)を編成する。
- 特進コースの生徒たちは、教員が問題を提供すると、生徒同士で「自分はこう解いたが、キミは?」とやっている。同じ目的を持った生徒たちは、ライバル意識ではなく仲間意識を持っているようだ。
- 放課後の補習はない。15時以降は、クラブ活動に励む者、開放している自習室で学ぶ者など、生徒の自由である。
私の感想
進学コースに新しく「 II コース」をつくったのは、生徒の実情・ニーズの変化を的確にとらえてフレキシブルに対応した結果なのでしょう。学校は生徒のことを実によく見ています。こんなところに、本郷人気、躍進の秘密があるように思います。
今日の説明会のなかで、「先読み」という言葉を何度か聞き印象に残りました。日頃、生徒たちに「先読み」の自学自習計画立案を指導していることの現れと思います。また、資料「本郷進路情報」のあとがきに、「未来を予測し、行動できる人間になってほしい」の一文がありました。これも「先読み」ですね。
説明会の行き帰りとも、グラウンドの脇を通りました。人工芝に張り替えられたグラウンドでは、2、3のクラスが体育授業の最中。きびきびした動きに好感を持ちました。
(c)安田教育研究所 無断複製、転載を禁ず