普連土学園中学校・高等学校 東京都 女子校

▲学校ホームページ(クリックで表示)

 慶應義塾大学がすぐそこに見える丘の上に普連土学園がありました。学校説明会の前に授業・施設見学をしたところで説明会が始まりました。最初に、今年新任になった学校長の挨拶です。

  • 本校は、フレンド派(クエーカー)の宗派に基づく学校である。フレンド派とは、イギリスで創始され、全ての人間は素晴らしい存在である、として活動した宗派である。ヨーロッパからアメリカへも移住。当時、フレンド派の移民は、先住民と交渉して対価を払い、公正に土地を譲ってもらった。先住民と対等に接したのである。フレンド派は、人間を大事にすることを徹底してきた宗派である。
  • 本校でも、「一人ひとりを大切に」を根底においている。1学年130人の少人数だから、一人ひとりに目が行き届く。よくある質問に「普連土学園はミッションスクールと聞いているが、わが家はキリスト教ではない。大丈夫でしょうか」がある。本校は全ての宗派を受け入れているので全く問題はない。
     フレンド派の特徴は他にもいくつかある。「簡素である」。制服を見てもらえばわかる。「正直である」。高3生対象に“普連土学園のここがスキ、ここがイヤ”のアンケートを実施したが、そっくりそのまま学校説明会資料に載せて判断してもらう。「与えられた仕事は誠実に果たす」。生徒にとって仕事は勉強である。先生が生徒に出した課題を生徒がやってこないと、休みの日の土曜日に登校して図書館できちんと仕上げてもらう。
  • 学校生活で大切にしていることに「朝の礼拝」がある。毎朝、独特の礼拝がある。週1回は「沈黙の礼拝」。各人、静かに自分の心を見つめる。入学したての生徒は20分間黙っているのがつらいらしいが、卒業生はいい思い出になっているという。他の2回は教員の話がある。残りの2回は当番の生徒が話す。生徒には、話の内容は宗教的なことでなくていい、心に感じたことでいいと言っている。
  • 私は今年から校長の任に就いた。この学校の発展に尽力したい。私の子どもは2人とも中学受験をした。その体験から、職員会議でこう伝えている。この学校に入ってくる生徒は、苦労していろんな思いを持って入学してくるのだから、その気持ちを大切にして、心から普連土に入学して良かったと思ってもらえるように頑張りましょう。

 次に、算数入試問題について顧問の先生から説明があり、続いて「カリキュラム・進路指導」について教頭から説明がありました。

  • 本校の進路指導に「S・F・Sプロジェクト」(進路設計プログラム)がある。学年を追って段階的に自分の進路を設計できるようにした取り組みだ。中1・中2では「自分の将来について考える」。中1では、自分の家族に13歳のときに抱いていた夢を聞いて、作文に書く。家族とのコミュニケーションが保てることにもなる。中3では「職業について考える」。夏休みに職場体験してレポートにまとめる。たとえば動物病院で獣医にやりがいや苦労の話を聞くことで職業が身近になる。高校になると、その職業に就くにはどの学部で学ぶのか、その分野に秀でた先生は? そうした先生のいる大学は? その大学の入試は? 入るためにはどんなことを学ばなくてはならないか? を知る。
  • 本校は小テスト・再テスト・再々テストをする。日々、小テストをすることで、勉強の遅れた生徒が発見でき、放課後、個人指導ができる。最後まで面倒をみる学校であり、生徒にも勉強してもらう。日々の勉強に不安を覚える生徒もいる。塾は進度が違うから、本校卒業生の家庭教師をつけることを勧めている。
  • 本校の特徴に小論文指導がある。大学入試が多様化してきており、志望動機文を書かせられる。大学の先生のハートをとらえるためには、ひとひねり、ふたひねりして書かなければならない。大学側にはこういう学生が欲しい、がある。入試日に小論文を書かす大学がある。小論文には資質が見え隠れする。だからこそ、どういう小論文を書かなくてはならないのかということになる。教員2、3人で指導している。今年、筑波大医学部、群馬大医学部に合格者が出た。小論文の力が発揮できたものと思う。
  • 本校の大学現役進学率は、国公立・早慶上智理・医歯に41%、G−MARCH・有名女子大に38%が進学した。まじめに勉強していれば、G−MARCH 以上の大学に入れる。

 その後で、「新たな取り組みに」ついて英語科の先生より説明がありました。

  • 日常的に英語に触れる機会を増やす。昨年から、全国的な英語弁論大会参加に代えて、本校独自の「イングリッシュ・チャレンジ」に取り組み始めた。「スピーチ部門」「暗唱部門」「演劇部門」「歌部門」「物語制作部門」の5部門がある。立ち上げるにあたり、いかに多くの生徒に参加してもらえるかの方法を考え、クラス対抗にして生徒を刺激することにした。結果、80名以上の生徒が参加。優勝クラスにはトロフィーを用意した。今年は2回目。80名以上の参加希望者がいて、軌道に乗ってきたと考えている。
  • 2つ目は「イングリッシュ・キャンプ」。夏休みに英語だけでネイティブの先生と過ごす。英語のゲームやバーベキューをして、英語を使ってみる体験をする。「イングリッシュ・ランチ」の取り組みもしている。ネイティブの先生と食事をしながら英語に触れる。
  • 小論文について、少しずつ見直して中学の段階からやっていくことにした。文章が書けないという生徒も、やる気になればいい文章が書けるようになる。「中学社会科論文」では、1年で地理、2年で公民、3年で歴史の小論文を書く。国語表現の授業もあり、小論文の書き方を学ぶ。高3になると小論文個別添削指導もあり、本校では、書く力を育てるプログラムに積極的に取り組んでいく。

私の感想

 授業見学で最初中1生のクラスを見ました。ちょうど百人一首についての授業の最中。指名された生徒が立って覚えてきた歌をそらんじます。すると他の生徒全員がその生徒に向かって大喜びで拍手を贈るのです。クラス全員が笑顔で「承認」するというわけです。次々に笑顔で拍手の「承認」が続きます。何かを達成したとき誰かに認めてもらえること(承認)で、モチベーションは上がりますね。授業は活気が満ち満ちていました。
 高2のクラスは世界史の授業でした。地図が描かれていて、教師がその場所について自身の体験談を語っていました。生徒は皆、教師を見つめて聞き入っています。話し終わりテキストに戻ろうとしたら、一人の生徒がすかさず手を挙げて質問。いまの話についてです。「いい質問ですね」と言い、教師はさらに深く歴史を語り始めました。こうして生徒は興味をもって深く学んでいくのです。
 説明会が終了したのは昼休み時。中1生たちが玄関で待ち受けていました。塾の先生を見つけて駆け寄り、交流するシーンが展開しました。生徒は素直で明るいです。

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