獨協中学校 東京都 男子校

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 腰を痛め自宅で療養中の学校長に代わり、入試室長(中学教頭)から挨拶があり、「獨協の教育」について説明がありました。

  • 獨協が大きく改革を始めて4年目になる。これまで以上に力を入れているのは、獨協の理念である。私たちが幼い頃、21世紀はバラ色の世紀と思われていたが、実際、21世紀を迎えてみるとそれは難しい。地球環境は痛んでいる。子ども達がこの学校で学び、文系・理系いずれかに進んでも、他の生物と共存共栄していかなければ生きていけない。その理念に立って、21世紀を生きていく子ども達の環境教育を、身近なところで行っていきたい。
  • 以下、スライドを使って、獨協の教育が進んでいく方向を示したい。
     昔の獨協は、リベラル・自由で、入学するとラクしてノンビリ、のイメージがあったと思う。何年か前、外部評価を導入した。保護者や生徒に「学校をどう見ていますか?」では、学校満足度が非常に高かった。こんなに高いところはないとまで言われた。子ども達がのびのびしている、大事にされているとのことだった。その結果を見て、生徒にもっと勉強させたいと思った。しかし、生徒をしばりたくないとも思った。
     本校は、設立以来127年の伝統校である。理想の校長は、獨協を立て直した13代校長・天野貞祐である。獨協が危機の時の立て直し理念は「子どもをほめて育てよ」だった。私たちは、面倒見のよい学校にもっとなりたいと思う。
  • 教科の面では、数学と英語に力点をおいている。数学では、中1に入学すると立体図形から教える。子どもは空間(立体)図形が苦手だ。どうやったら平面図形と立体図形を関連づけられるか、を指導する。
  • もう1つは英語だ。希望者には「国内ミニ留学」を行っている。5日間、1日5時間、計25時間をネイティブの先生と過ごそうという取り組みだ。場所は学内で、25時間、英語のシャワーを浴びる。
  • 環境教育は校長が牽引している。その1つ「ビオトープ」は、太陽光発電で水の循環システムを作り、小川のせせらぎを再現した。そこではホタルも舞う。冒頭話した21世紀は他の生物との共存共栄をはかっていかなくては成り立っていかない、との教えを実践している。「屋上緑化」にも取り組む。壁面緑化で室内は5度、気温が下がる。プランターには6リットルの土しかない。水は自動給水だ。世界には表土が少ない国がある。最小限の土と肥料と水で実現させようと、岡山大学の先生が開発したもの。7月、8月に一面にメロン、スイカ、ゴーヤが生る。さらに、地球環境に関心をもつ高校生に「イエローストーン」でサイエンス体験実習も行っている。イエローストーンは世界で最初の国立公園で、そこの科学者と本校はつながりをもっている。
  • 情報公開にも力を入れている。本校は男子校。プリントを配っても、プリントをカバンの中に入れたままで親に見せない、話さない男の子がいる。「学校から何もお知らせが来ないじゃないか」となりかねない。そこで、ネットで情報公開することに。学級通信、図書館便り、英語科通信など、配ったプリントをネットでも見ることが出来る。学校と家庭の間を濃密にしたい。
  • 中3になると全員が「研究論文」に取り組む。27年間続けている。書く力は大事、書かせるためにどんな仕組みをもっているかが大事だと思う。中3生全員に担当の先生が付く。先生は3〜4名の生徒を担当して、面談して、テーマの決め方・調べ方・インタビューの仕方をアドバイスする。下書きの添削もする。1年かけて完成までもっていき、製本。研究論文には、もう1つねらいがある。生徒の知的関心がどの方面にあるのか、生徒自身に気付いてもらうことである。そのことが、高校に入ってから進路指導に結びつく。進路指導の3つの柱は、(1)自分はどんな人間であるか(自己発見)、(2)世の中にはどんな仕事があるか(進路研究)、(3)進路希望を実現する学力を身につける(学力形成)である。このうちの(1)が、研究論文を書くことで見えてくる。
     因みに、本校の前には「フォーシーズンズホテル」がある。一流ホテルだ。そこでの仕事はどうなっているかを見てきてもらう。ホテルでベッドメイキングを学んでくる。子どもはサービスを受けて大きくなる。世の中に出て働くと今度はサービスを施す立場になる。当たり前のこと。たとえホテルの仕事に就かなくても、ベッドメイキングしたことは記憶の中に残る。人のためにサービスをすることが大事だと知る。
  • 大学合格実績だが、本校は伝統的に医歯薬が強い。合格実績は今年、医学部に12名(例年は20名ぐらい)、歯学部に18名、薬学部に16名だった(卒業生191名)。併設大学には獨協大学、獨協医科大学があるが、母体は本校であり、決して付属校ではない。今年、推薦で獨協大学に入学したのは6名だけだった。

私の感想

 都会のど真ん中にビオトープがあるのは驚きでした。校門に向かっていくと水音が聞こえます。のぞくとメダカがいました。地球環境のために何ができるか、実践を伴った学習を展開していました。他の生物と共存のための哲学がなければ科学知識も役立たないと校長の理念にあります。環境教育に、今いちばん力を入れているように感じます。
 校内見学で図書館(獨協では情報センターと呼ぶ)へ。新しい取り組みがありました。「帯コンクール」です。中1の3 学期に国語授業の一環で、図書館にある本から生徒自身が4月に入学してくる新入生に勧める1冊を選び、推薦のコピーを考え、手づくりの帯を作って本に巻いてありました。それがズラリ。壮観です。星新一の小説には、本嫌いの人も、これを読めば好きになるぞ、みたいな中1生らしい帯が付いていてなごみました。これから審査して、金賞・銀賞などを選出するそう。

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