和洋国府台女子中学校・高等学校 | 千葉県 | 女子校 |
和洋国府台は学校周辺がまだ畑で住宅が点在する程度ですから、ずいぶん静かです。勉強に集中できそうです。
はじめに、「教育方針と本校の特色」と題して、学校長の挨拶がありました。
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和洋は、中学では一般によく見られるような「特進コース」を設けない。中学で設けない理由は、中学の段階では人間教育の比重を大きくしているからである。この間、千葉大の教授と話をした。医学部には100名の学生がいるが、全員にスポーツを強制しているそうだ。医者は体力が勝負。7〜8時間の手術だってある。身体が丈夫でないとダメなのだ。学ぶ前の基礎づくりが大事というわけである。本校の中学段階も、まさにそれ。
仮に、中学段階で「特進コース」を設けたとしたら……「特進コース」以外の生徒はどういった気持ちになるか。気持ちの上でのマイナスが心配である。和洋の教育方針が阻害されるかもしれない。それに、中学の段階の偏差値は決定的なものではない。だから設けない。本校では高校になって「特設コース」が始まる。 - 学力の差はどうしても生じる。学習の遅れた生徒の指導はエネルギーを要する。本校では、英・数の立直りのキッカケがつかめればと考え、学校の施設で自習させることを実験的にやってみたい。中2生40名ぐらいを考えているが、大事なのは、本人の参加のモチベーション。生徒には「チャレンジしてみないか」と、自発的に参加する気持ちになるよう注意深く進めたい。
- 高校の「特設コース」は、設置当初希望者が少なかったが、このところ人気が出て、現在は高1に70数名いる。中3生の段階で希望者を募るが、なんと120名もの生徒が名乗りを上げた。担当教員には、生徒に対して「あなたは特設コースの基準に合わないから…」とは言わないように言っている。生徒の「やってみたい」気持ちを大事にしたい。生徒のモチベーションを大事にしたい。
- 大学への進学指導の方針を1年前に変更した。「安易な推薦入試に乗るのはやめよう」を打ち出した。今や数字上では“大学全入”の時代。したがって大学側は、入試をやさしくして、多種多様な推薦制度を設けている。これでは、いけない。高3生は3月まで目いっぱい頑張ることで、学力が高まるのだから。
次に中学教頭から、中学について説明がありました。
- 中学での学びについて。コンセプトは「女子には女子の学びのペースがある」である。男子は単純な積み重ね学習を嫌う。だから、時に難しいことを入れる。しかし女子にそうしたら、「先生、わかんない」となってしまう。そこで、“スパイラル”に変えることにした。スパイラルとは繰り返し授業のこと。角度を変えて、繰り返し教える。成果としては、英語の学力がUPしてきた。女子が嫌う理科も、「本物に触れる・自然に触れる」ことで興味を深めた結果、理科好きが増えてきた。
- 生徒は「わかったつもり」が多い。ここでもスパイラルで、完全にわからせる。
- 基礎・基本の徹底について。「基礎」は理屈なしに覚えさせる。たとえば、動詞の変化。これは覚えなくては始まらない。その上に「基本」がある。本校では「暗記英文集」を作り、生徒全員に持たせて覚えさせている。この英文集には、中学で学ぶ基本英文法が全部入っている。実はこれを暗唱すると、和洋国府台を英語で紹介できるようになる。中学を終えると、希望者にはイギリス研修がある。今年47名が参加して、現地の2校を訪問した。そこで、本校のことを英語で立派に紹介してくれた。
続いて、高校教務部長から、高校について説明がありました。
- 今、高校では受験体制の変換に取り組んでいる。3年後「G − MARCH に50名」の目標達成に向けて頑張っている。大学全入時代を迎え、ムリをしなければどこへでも入れる。でも、自分の行きたい大学、その先にある未来を目ざさせていく。
- 受験特訓講座を開設した。さらに、「勉強合宿」もある。校内の宿泊施設を使って3泊4日の合宿を繰り返している。集中力と忍耐力の強化に役立っている。
- 「特設コース」への入学希望者が増えている。最初は20名いるかいないかだったが、今年は2クラスも。
私の感想
和洋国府台の教育は信念が貫かれている一方、生徒一人ひとりの意欲を大事にしていますね。教員の対応は、生徒それぞれの気持ちに実に細やかです。しっかり受け止めています。だから、生徒のモチベーションが高まっているのでしょう。説明を聞いていて、信頼感を持ちました。
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