東京電機大学中学校・高等学校 東京都 共学校

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 はじめに学校長より、「挨拶および本校の教育方針」についての話がありました。

  • 今年4月から校長の任に就いた。今日は、本校がどのように生徒を育てようとしているのか、学校づくりをしようとしているのかを話したい。
  • 本校には中高一貫の6年間と、高校3年間の入学生がいる。
     校訓は「人間らしく生きる」である。今年4月、入学式で話したことがある。「人間は誰でも白紙の状態で生まれてくる。白いキャンバスに人生という画を描くのですよ」。それぞれが、かけがえのない人生を自分の力で歩んでいく。卒業時までには、自分の人生を歩いていくための考え方とか、実行力、判断力をしっかり身につけていく。
  • 人生を生きるとか、社会とのかかわりを考えることは、具体的には「職業を考えること」。最近の新聞に、中央教育審議会が、新たに職業教育に絞った大学を創設してはどうかの答申を出したとの記事があった。背景にあるのは、大学を出て就職しても、すぐに辞めてしまう若者が多いこと。職業教育を新たな観点から考える必要があるということだ。中学・高校で「キャリア教育」が言われてから、だいぶ時間が経過している。
     本校では、先週の土曜日、高1にキャリアガイダンスを行った。医師など10人の職業人に本校へ来てもらい、話をしてもらった。10人の方には事前に伝えたことがある。「仕事の難しさとか詳細とかもいいですが、できれば、職業に就くとはどういうことなのか、社会にかかわるとはどういうことなのかを生徒に伝えてほしい」
  • 冒頭、白いキャンバスに人生という画を描くと言ったが、何もないところからは何も描けない。しっかりしたビジョンをもち、幅広い知識をもたなければならない。学習が必要になる。学習には、一人ひとりが知識を身につける側面がある。これは必要なこと。本校では週6日間、授業に力を入れているが、夏休みにも3期に分けて講習会がある。高校生には40講座を用意し、生徒は希望によって選ぶことができる。このように学習には力を入れているが、しかし学習とは、知識を身につけるだけでなく、広い意味で、人間が築き上げてきた文化に触れていくことだと思う。そういう側面もあると考えている。高3になると、進路選択をする。理系に進学していく生徒が理系の科目だけ学べばいいのか。国語の古典も学ぶ必要があると思う。文化にも触れていくことが必要だろうと考えている。
  • 世の中にはどんな学問があるのか、自分は何に向いているのか、にも関心を向けさせたい。本校では「文化講演会」を実施する。今年は、気象予報士の森田さんに来てもらった。生徒は、授業では見られない関心をもって聞いていた。高校が今年70周年を迎えた。その記念講演会でアルピニストの野口さんを迎えた。登山でなく環境問題の切り口での話があった。直接何々とは言えないけれど、こういうことを大事にしたい。
  • 生徒に「自分探し」をさせるということは、自分はどういう人間かを自己探求させること。高校2年でコース選択をさせるが、自分探し・自己探求をしっかりやっている生徒は、スムーズに文系・理系の進路選択ができているようだ。勉強だけやってきた生徒ではできないと思う。コースに分かれて、やがて大学入試が近づいてきたとき、自分は何に向いているのか、何をしたいのかを考えている生徒は、主体的に大学を見ている。だから、どこどこの大学に行きたいと自ら選択していく。
     どういう生徒を育てるのかといえば、生徒に自立していく力をつけさせたい。だが、それは生徒一人でやれることではない。クラスの仲間がいてできることだ。人は一人で生きているのではないのだから、社会的な場でできることである。本校の校則集に、中学生では「常に周囲への思いやりをもつ」がある。
  • 全ての生徒が大切に尊重されなければならない。生徒にいつも言っていることがある。「全員が主役ですよ。脇役はいない。一人ひとりに光が当たりますよ」。

 続いて、中学教頭と高校教頭からそれぞれ「今年度の入試総括と来年度入試について」の説明があり、終了しました。

私の感想

 東京電機大学中学・高校は、校長の話にあるように、理念が1本明確に貫かれています。生徒も高3 になるころには、自分はどんな研究をしたいのか、その分野にはどんな先生がいるのか、どこの大学の先生か、その大学は研究費を多くとっているのか……まで調べているのだそうです。
 今年の大学進学先データでは、国公立大へ15名、早慶上智理大へ14名、G-MARCHへ12名など多岐に渡っています。中高一貫生の東京電機大学内部推薦は3名しかいません。生徒は自分のやりたい道を見つけ、意欲的に巣立っていました。

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